浸食されたトレイルは2度と元には戻らない

持続的なマウンテンバイク環境を作るのに必要なこと、2回目

文章まとまらず書いては直しを繰り返していたらすっかり時間がたってしまいました。
このままだと無限にこねくり回しそうなのでひとまずアップしてみます。

今回はマウンテンバイクが土の道を走ることで必ず発生する路面の浸食について書いていこうと思う。
マウンテンバイクの走行によって表面の土砂はそぎ落とされ、弾き飛ばされ、また耕されるように砕かれ、土砂はその場所から移動していく。
これと同時に地面に圧力がかかることで表面の下の土は押し固められる。固まることで透水性が悪化、ここに雨水が加わることで更に表面の砕けた土が押し流される。これがマウンテンバイクのよって起きる浸食。
土砂が失われることで埋まっていた根っこや岩が浮き出し、段差が生まれ、走るラインに沿って縦に深く溝が刻まれる。
どんなに気を付けて走ったとしてもこれが起こるわけで、ちょっとラフに走ればその影響たるや甚大なものになる。
そしてここが最も重要!!
一度流出した土は二度と戻ることはないし、戻すこともできない。

維持管理や補修など各地で様々行われているが、これは一時的な対症療法に過ぎず問題の先延ばしにしかならず、解決策ではないということを覚えておいてほしい。

また、メンテナンスしてもあるべきものが失われている以上100%元の状態に復旧することは不可能である。
使えば使うほどに地面は固く締まり、土が失われ路面レベルが下がることで排水性が悪化していく。トレイルを直す作業、やってみると実感できると思うけど繰り返す程に、元の状態に戻らなくなっていく。

ちなみにこの浸食、マウンテンバイク利用だけで起こるわけではなく、人が傾斜地を使用すれば徒歩だろうがオートバイだろうが必ず発生する。もちろん林業だって農業だって同じ。
そのインパクトは数が多くなるほど、スピードが速くなるほど、機械ならパワーや重さが増すほどに比例して大きくなる。
マウンテンバイクなんか目じゃないくらいの浸食につながることだって少なくない。
なら、なぜマウンテンバイク走行の浸食が問題か?

どんな利用者よりも浸食による影響を最大限に受けるのは、マウンテンバイク自身ということ。

環境的な影響、山林の所有者への影響、地域社会への影響、考えればマイナスに働くことはたくさんあるがその辺の話はまた今度。
徒歩など他の山道利用者に比べマウンテンバイク、特に初心者から中級者は思っている以上にきれいな路面が必要となる。徒歩では気なならないような段差や石ころでもマウンテンバイクは簡単に転倒するし、走行が困難になる。
特にマウンテンバイクを始めたばかりの初心者や子供、低価格帯のマウンテンバイク利用者にとって浸食された道はもはや走れるフィールドではなくなってしまう。
未舗装の土の上を走ってる皆さん、いつも走ってる山道、年々難易度上がってきているって感じている人少なからずいるんじゃないかな?
土が失われ根っこや岩が浮き出し段差が生まれる、結果としてより高性能バイク、そして高いライド技術がなければ楽しめなくなる。

マウンテンバイクが走れば走るほどに自らの楽しめる環境を破壊してしまうという矛盾・・・。

もちろんそんな変化を楽しむのもマウンテンバイクではあるんだけど・・・。
結果として次の世代に気持ち良いマウンテンバイクライドの魅力を残せない、そんなトレイル利用の形はやっぱり持続可能ではないと僕は思う。
だからいかに浸食を抑えトレイルを長寿命化させていくか?真剣に向き合うことが何より重要だと考えている。
使用することと浸食、これのバランスを取り持続的な利用を実現することは限りなく難しい。

もしかしたら不可能かもしれない。

ちなみに荒れたら他に移ればいいじゃんという使つぶし、やりっぱなしの考え方は論外!
そんな無責任な遊び方してる人はマウンテンバイク乗る価値無し!と個人的には思う。

この浸食、実は日本に限ったことじゃなく世界的に起きていること、最近ハードテールが減って高価なフルサスバイクが多くなってきてるでしょ?
そんなバイクじゃないと楽しめない荒れた道が多くなってきているのも理由の一つ。

このままのマウンテンバイクの遊びのスタイルで将来も変わらずマウンテンバイクが楽しめるフィールドが残っていくか?疑問を感じる部分ではあるね?持続的という面でね。
近年マウンテンバイクが再び盛り上がってきてけど、派手な部分ばかりクローズアップされていて、そういう足元の根幹的な部分についての議論や研究が全くなされていないことには強い危機感を感じている。

ちなみに僕たちTRAIL CUTTERが管理するトレイル、ガイドツアーという利用形態をとっているのはトレイルの長寿命化というのも理由の一つ(他にもいろいろあるけどね)、将来も楽しめるトレイルをつないでいくために、オーバーユースを抑え、皆さんに走り方について協力をいただく、さらに恒常的に維持作業を荒れるスピードを超えて行うことが僕らの取り組みの一端。
幸い参加する皆さんがタイヤを滑らさない走り方などで協力していただけるおかげで使用から12年たった今でもコンディションが維持できている。
とはいえぎりぎりかな~

今回のテーマ、持続可能なトレイルを作り維持保全する、という物理的な部分に関して僕自身の思い入れが強すぎてちょっとまとまりきらなったかな?
そんなわけでこれに関連するテーマは今後もちょくちょくブッ込んで行く予定。

今回はここまで
次回は持続するうえで重要なお金のお話~・・・。

PAGE TOP